新興市場の上場緩和について【11/17】

 

 

日経にこんな記事が出ています
創薬、上場しやすく 金融庁・東証が条件緩和

 

 

東証が11月中にもマザーズとジャスダック両市場に関する改革案を公表する。2020年のルール見直しを目指す。

 

現行:マザーズは上場6年目以降に売上高が1億円に満たなければ原則上場廃止になる。ジャスダックは5年連続で営業利益と営業キャッシュフローがマイナスだと廃止になる。

 

改定案:売上高や利益が低迷する時期が長引いても上場が維持できるようにする
業種は限定しないが、金融庁や東証は創薬系の企業を想定している。
詳細は今後詰めるが、廃止基準に触れた企業でも個別に判断し、今後の成長が見込めれば上場を維持する制度をつくる。

 

 

 

しかし直感的には、これはダメだなと思います。
いや、はっきりいって私がバイオ株が嫌いだから、ということだからなのは否定いたしませんが・・・・。
そもそもタイミングも悪すぎませんか。

 

 

この報道をみて喜んでいる投資家は、仕手筋くらいではないでしょうか?
バイオとか小難しい化学合成とか、仕手で釣り上げるのには向いてますからね。

 

 

そもそも論でいえば、技術知識のない一般の人に理解が難しく、開発の成功可能性もわからない技術ベンチャーを支援するのは、本来、プライベートエクイティの領域だと思うんですよ。
NDAを結んで非公開の技術情報や実験状況、特許出願状況などの情報開示を受け、同分野に専門的な知見を持つスタッフがヒアリングを重ねて、ようやく、開発可能性が判断できる、というものではないでしょうか。

 

 

プライベートエクイティファンドにも相手にされないような企業が、新興での上場を選ぶ、ということにならなければよいのですが。

 

 

今年はじめのサンバイオのように、治験結果が出るまで、業績がどう転ぶのかさっぱりわからないような株がマザーズの時価総額トップになるほど仕手同然に人気化し、それがコケたことで、個人投資家や、証券ディーラー筋を巻き込んだ大災害となり、その後のマザーズ低迷の原因を作ったことは、すっかり東証関係者は最近の日経平均上昇でお忘れになってしまわれたようです。

 

サンバイオショックは、2018年冬の暴落でいたんだマザーズ銘柄愛好家の投資意欲にとどめをさしたような感さえありました。
実際のところ今にいたるもマザーズは低迷し、ジャスダックはそれなりに上昇している状況を作った原因の一つと思わざるを得ません。

 

 

その状況で、このようなモノサシで測りようのない企業をマザーズもジャスダックも増やして、しかも、上場廃止基準もはっきりしない状況を作ったら、暗い景気指標が相次ぐなかで、中小株マーケットからの忌避はますます強まるのは目に見えています。赤字でも継続できるとなれば、赤字で公募増資を繰り返しながらの延命となるのは目に見えているわけでして、普通の投資家なら怖くてよりつけません。

 

 

業種を限定しないというのは、将来、量子コンピュータなどの近未来的なテクノロジーの新興企業も想定しているのでしょうから、それはまあありだとしても、上場基準および廃止基準の緩和は、マザーズのような指数売買も行われているマーケットとは別枠でやっていただきたいところです。

 

といっても日経にリークされたということは、すでに東証側で話は着々と進んでいるのでしょうから、私としては「バイオ株には近寄るな」キャンペーンをここでほそぼそとやるしかないのかな・・・(苦笑)

 

こういうのが時価総額数億規模で一部のバイオ愛好家に買われて存在するだけならいいのですが、仕手筋に好まれて指数に影響するくらいになってしまうと迷惑なんですよね。
未知の技術に夢を抱いた経営者や投資家が株式市場に存在することまで否定するつもりはないのですが、目先の値動きに興味があるだけのド素人の投資家にまで注目されてIRに問い合わせや文句の電話が来るような状況となるのは、当のベンチャー関係者にとっても本意ではないはずです。
ですから次善の策として、このような枠での上場企業株は、信用取引売買は禁止する、くらいの配慮があって当然だと思います。
とにかく仕手筋のオモチャにされる可能性については、防止策をきちんと講じていただきたく。

 

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