部分合意後も依然として残る、相場へのツイッター介入とブロック経済化リスク
正直いって私は、米中協議については今回も悲観的でした。
改めて今回、感じたのは、相場の上下を読むのが、
ものすごく難しくなってしまっているなと。
景気指標をみて分析すれば先が見通せる、
というのが通常の相場なのに対して、
いまの相場はもはや
政治家の心理の読みあい
になっています。
高ストレス状態に置かれつつあるトランプ
今回、米中の部分合意について、いろいろ報道を見る限り、
「中国は技術移転問題やハイテク産業国家支援などで折れる気はない」と
いう予想までは概ね正しかったようです。
読み違えていたのは、予想以上にトランプが成果を焦っていたこと。
下記の事情から、トランプがどうしても部分合意したかった」との解釈が有力です。
ウクライナ問題で「トランプをちゃんと調べろ」という声は共和党支持者の間でも強くなっている
ウクライナ問題で民主党バイデンはそれほどダメージを受けていないという見方も
(エコノミストの間でも意見が割れているが)
シリアからの軍撤退では共和党議員からも批判の声
北朝鮮が言うことを聞かなくなり、「良い協議」のつもりが北からは「決裂」といわれる始末
実際、最近、エコノミストの講演やマスコミでのコメントなどでも、
「トランプが、イランや北朝鮮など対立国からなめられ始めている」
「外交オンチが露呈した」「判断に迷いが出始めている」という
厳しい意見が急に増えてきた感があります。
そんななかでの、第1段階の合意ですが、
トランプが「技術移転の是正について合意を含む」としつつ
「第2段階まで交渉が続く」というコメントをしたところで、
マーケットはいくぶん冷めたと思われます。
https://www.sankei.com/world/news/191013/wor1910130003-n1.html
それが金曜晩の上昇が最後やや尻すぼんだ原因です。
具体的な合意書面の内容がはっきりした段階で
「技術移転や知的財産保護に関する具体的な協議がこの先は思うように進まず、
またトランプがイライラし始めるのではないか」という懸念が浮上する可能性は大きいでしょう。
https://www.newsweekjapan.jp/glenn/2019/09/post-30.php
シリアの戦火や北朝鮮の挑発などがこの先どうなるかはわからないにしても、
確実に言えるのは、
景気後退の予兆に事欠かない状況で、
トランプは非常にストレスの多い1年を過ごすだろうということです。
その結果、衝動的なツイートがますます増えるのではと心配です。
たとえば
関税引き上げを恥も外聞もなく「選挙後までは延期する」とつぶやく
大規模減税案を「私を再選させたらやる」とつぶやく
民主党候補を下品に罵倒する内容をつぶやく
これらで相場や世論を誘導しようとすることは想定の範囲といえるでしょう。
ブロック経済化は今回の部分合意で遠のいたといえるのか?
その一方で、
中国企業の株式上場や中国投資に制限
https://jp.reuters.com/article/nasdaq-china-idJPKBN1WF00P
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-09-27/PYHZJAT0G1KW01
中国人に対するビザ発行を制限
https://jp.reuters.com/article/usa-trade-china-education-idJPKCN1T417N
https://www.bbc.com/japanese/49982324
中国の監視カメラなどは禁輸措置(10/7実施)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-07/PZ0XIP6KLVRI01
などと
今回の米中協議の枠外で
中国との経済交流に壁を設ける取り組みは
淡々と進行しています。
そうした事情を念頭におくと、ブロック経済化が今後進行するという見方が
今回の部分合意で弱まるとは思えないのです。