2019年の重要指標を考えてみる(18年大晦日)

この時期になると、2019年の見通しについて、様々な記事が出てきます。
ただ、そもそも1か月先の株価の予想さえ困難なのに、

1年先の日経平均のレンジを出されたところで、
それをベースにトレード戦略を考えるということはありません。

とはいえ、いつも気にしているのは、

後になってから振り返ると、「結局この事柄さえ見ておけばよかった」
というようなものが、年によってはあるんですよね。

少し例を挙げてみます。

■2013年は「日銀の政策変化」

たとえば2013年。

いまとなっては誰にとってもいい思い出になっているであろう、
日経平均が1万円前後から16000円超まで急上昇した年ですが、
この時期の経済雑誌の新春特集をみると、意外に慎重な見通しが
多いのです。

前年12月に自民党が政権を取り、

日銀白川時代が終わったあとで何が起こるか、
誰がポスト白川なのか、まだ具体的に見えていなかった時期ではあります。

当時の雑誌の年始特集をみると、日銀の政策転換の

ポジティブインパクトを想定したものはほとんどなく、
「安倍政権の介入で日銀の独立性が損なわれて世界の信用を失う」とか
「金融政策だけではデフレは克服できない」などの
ネガティブな論調だったりもしました。
(完全な的外れともいえませんが、ポジティブな
 側面を軽視しすぎた論調ということはいえるでしょう)

■2007年は米住宅価格
あるいはさらに遡って2007年。リーマンショックの前年です。
2005年末から10年ー2年の長短金利差の逆転が発生していましたが、

当時は、「長短金利差の逆転が続いたからそろそろ暴落かもしれない」というような
記事は見当たりません。

金利差逆転が起きると景気後退期入りする、と盛んにいわれるようになったのは、

実はリーマンショックが起きてから後のことで、当時は、
ITバブルが弾ける時に先行して発生していた、わずか1回の
実績しかなかったのです。

※追記・・・これは誤りで、みずほ総研のこのレポートによると、
79年、89年ごろにも実績はあったようです。とすれば、
「当時は忘れ去られていた/軽視されていた予兆現象だった」と表現するのが
正しいのかもしれません。2006年末〜2007年初めよりも今のほうが
よほど予兆として騒がれているのは間違いないです。
また、当時から、アメリカ低所得者層における住宅ブームの

反動を危惧する声は実はあったのですが、それは必ずしも主流では
なく、「貸し倒れが起きても金融機関は吸収できる」
「日本の不動産バブルに比べるとさほどの規模ではない」などと、
リスクを過小評価する声もあったようです。

とはいうものの、弱気派と呼ばれたエコノミストが当時、警戒する指標として

「アメリカの住宅価格動向」を挙げていたことは紛れもない事実でして、
これをきちんと見ていれば、2007年後半からの下げ相場を予見することは
必ずしも難しくはなかっただろうな、とも思えるのです。

■2018年は欧州株指数?
・・・ということを踏まえて、2018年は何を見ていればよかったといえるのか。
あまりこれだというのはないのですが、一つ挙げると、欧州株指数かなと。
違う意見の人もいるでしょうが、欧州株の下落に

日本株が引っ張られた、という面はかなりあったと思います。

日本株は米国株にも欧州株にも影響される、というのが正しい認識だと思います。
ここまで書いて思い出してしまいましたが・・・
年初に、「トランプ=共和党は本選挙をにらんで、2018年は

株価をあえて引き上げようとしないかもしれない」と書いたことがありました。
株価の結果論はともかく、どうみても間違いでしたね・・・。反省。
トランプは、常に、株価が右肩上がりでないと気が済まないお方でした。

■2019年は政策金利、社債の信用スプレッド
今回はもう少し地道に考えます。

2019年の重要ウオッチ項目はなんでしょうか。

とりあえず2つ。
やはり1つめは
FRBの金利政策、および市場予想とのギャップでしょう。

これは説明するまでもないと思います。

2つめとして、企業債務です。
11月にFRBの金融安定報告で、リスク項目として
「企業債務」が挙がっているので。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-28/PIWXVZ6VDKHS01

具体的にこれがどの指標と関係するかというと、たとえば

ジャンク債利回りや信用スプレッドといわれるものですね。

信用スプレッドの上昇は、社債による資金調達コスト上昇を意味しますが、

社債による資金調達は米企業の自社株買いと裏表の関係にあり、

「社債コストの上昇は、社債による調達資金で自社株買い、
という米国株の上昇エンジンを止めるかもしれない」
という指摘も最近は出ています。
ちなみに、日本企業でハイイールド債で資金調達している代表企業といえば、

9984ソフトバンクですから、

(海外投資家の考えが投影されるかもしれないという意味で)
ソフトバンクの株価にも何か異変が出ないかどうか、この先注意したいところです。
3つめは、優先順位は大きく下がります。
2019年に限ったことではないのですが、原油価格です。
日本経済にとって、原油価格が下がるほうがプラス効果だと

言われたりしますが、日経平均の動向という観点からみると正相関です。

どのようなメカニズムで相関するのかは、世界景気を反映するからだとか、
オイルマネーが関係するとか、諸説いわれていますがそこは
正直よくわかりません。
ともかく正相関である以上、トランプは原油価格を上げるな上げるなと
いつも言っているのですが、
日本株という観点からみると、ちょっと微妙かなと思ったりもします。
ただ、2014年後半のように原油と株価は長期で逆相関するケースもありますから、

これは、ほどほどに気にするという感じです。

たぶんこのエントリーが2018年のラスト投稿です。
よいお年をお迎えください
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