ドル円USDJPYと日経平均NK225、お互いを先行指標として観察する意味はあるか<その2>

およそ1か月半前、2つ前の記事で、

 

「ドル円USDJPYと日経平均NK225、お互いを先行指標として観察する意味はあるか」

 

という話題について書きました。

 

その際に、「移動平均線の上下がドル円と日経平均で食い違ったときに、どちらが先導するのかを調べる」というテーマを予告しておいて

 

そのまま放置してしまいました。

 

その分析記事です。

 

さて、「移動平均線の上下が食い違うという状況」について、互いの影響を調べるため、

 

下記のようにイベント(出来事)を定義します。

 

ド-上 : ドル円は5日移動平均を上に抜いたが、日経平均は5日移動平均の下にある
ド-下 : ドル円は5日移動平均を下に抜いたが、日経平均は5日移動平均の上にある

 

日-上 : 日経平均は5日移動平均を上に抜いたが、ドル円は5日移動平均の下にある
日-下 : 日経平均は5日移動平均を下に抜いたが、ドル円は5日移動平均の上にある

この「上に抜いた、下に抜いた」というイベントから6営業日後の伸び率をそれぞれ調べました。
なぜ「6営業日後」なのかというと、
翌日〜2日後だと、あまりにも平均増減幅が小さくスプレッド負けするレベルなので、
なんとなく大きくして6営業日くらいにしてみた、という程度の理由です。

 

ここで但し書きです。

 

これは以前の分析もそうだったのですが、私の持つデータは終値に時間のズレがあります。

 

日経平均指数のデータ・・・15時にクローズする
ドル円@東京のデータ・・16時にクローズする
※それぞれチャートギャラリーのデータを使用

 

1時間ほどずれているのです。
日経平均の終値をみてドル円をトレードする人にとっては問題ありませんが、逆の場合は少し問題があります。

 

面白い結論があれば、より厳密なデータを集めて調べるべきところですが・・・。

 

さて、結果は下記となります。

 


ド-上 : ドル円 -0.06% 日経平均 +0.04%
ド-下 : ドル円 -0.01% 日経平均 -0.23%
日-上 : ドル円 -0.11% 日経平均 -0.20%
日-下 : ドル円 +0.10% 日経平均  0.00%
(期間は2000年1月〜2018年4月中旬)

念のため、直近の3年半のデータ
ド-上 : ドル円 -0.30% 日経平均 +0.36%
ド-下 : ドル円 -0.19% 日経平均 +0.22%
日-上 : ドル円 -0.15% 日経平均 -0.08%
日-下 : ドル円 +0.23% 日経平均 +0.33%
(期間は2015年1月〜2018年4月中旬)

 

もともとこの分析を行う前の仮説は、

 

「どちらか一方が、先駆けて5日移動平均をクロスしたときに、もう一方を強く引っ張る主従関係があるかもしれない」

 

でしたが、

 

上記の結果をわかりやすく要約しますと、

 

17年間の傾向として
ドル円上抜きー>日経平均ほぼ動かず(+0.04%
ドル円下抜きー>日経平均マイナス(-0.23%)
日経平均上抜きー>ドル円マイナス(-0.11%
日経平均下抜きー>ドル円プラス(+0.10%

直近3年半だと
ドル円上抜きー>日経平均プラス(+0.36%
ドル円下抜きー>日経平均プラス(+0.22%)
日経平均上抜きー>ドル円マイナス(-0.15%
日経平均下抜きー>ドル円プラス(+0.23%

 

実は最初、17年間の傾向をみたときに、
「ドル円が下向きになると日経平均が下に引っ張られる」という傾向が
役立ちうるかな、と思ったのですが、
念のため直近3年半をみると、逆の傾向。これは傾向と言えない。

 

逆に直近3年半のデータだけでいえば、
「ドル円が上向きになると日経平均が上に引っ張られる」と見えますが、
17年間でみると、トレードに使うほどの傾向はない。

 

強いて言えば「日経平均が5日平均をクロスしたあとは、ドル円は逆方向に動く」という傾向がわずかに見られます。
しかし0.1%程度の動きを傾向と呼ぶほどのものかどうか。
FXトレーダーにはこんな数値でも何か手掛かりを与えるかもしれませんが、
私にとってはちょっと小さすぎるかなという感覚です。

 

 

誤解を避けるために申し添えておきますと、
「ドル円と日経平均の同期間の相関」を調べると、確かに相関しているのです。

 

ここで強調したいのは、

 

「過去の同期間の値動きが互いに相関するのだから、一方の値動きは、もう一方の値動きについて手掛かりを与える」という認識は誤りだということです。

 

言い方をかえると

 

「2つの値動きの相関性は高いものの、両方とも値動きに持続性がないために、互いの先行きについて予測性をもたない」

 

ということになります。

 

ということで、ドル円と日経平均の移動平均クロスが互いに及ぼす影響についての調査は面白くない結果でした。

 

しかし、いろいろグラフを作ってみたところ、気になるポイントは別にありました。

 

ドル円と日経平均の相関係数の上下が何を意味するのか?

 

マクロ的な傾向をつかむうえで、これは定点観測するべきものです。

 

ですので、ドル円と日経平均の相関の分析シリーズはまだ次回以降に続きます。

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