「上げすぎのスピード調整」は何を基準に判断するのか
このところの暴落については、「昨秋からの3−4か月、上昇スピードが速すぎたための調整だ」という見解があります。
果たしてこれが一時的な調整なのか、もっと長期的な調整なのか、という論点もありますが、今回はそこまで踏み込みません。この「スピード」とはなんなのか、について、個人的に思うところを書いてみます。
下の図は日経平均指数の月足を表示したチャートになります
※パンローリング社のチャートギャラリーの画面より抜粋。チャート画面の掲載について問題ないことは同社に確認ずみ。
なお、移動平均線は、5か月平均と12か月平均です。
こうしてみると、これまでも月足が12か月平均から離れた位置で1年〜1年半前後上昇したあとで、ストンと12か月平均の位置まで落ちる月が発生しているのがわかりますね。
・2017年9月にも12か月平均に一瞬タッチしていますが、あまり大きな下落を伴っておらず、今回の下落は、2016年末からの1年超に渡る上昇の調整局面とみなせる
・2014年、2015年の調整共に、年初来高値を抜くのには半年以上要しており、今回も3−4月前後まで勢いを失ったまま推移する可能性は高いように見える
・右端の12か月平均の値は、20800円ですので、現状はまだ800円ほど離れている。
そういうわけで、目先のリバウンドはともかくとして、3月までには20500円以下、20000円近辺までいったん下げることも視野に入れておくべきではないかと考えているところです。
まさに年初のブログエントリーで「風向きの変化が生じるとすれば、2−3月にも何か芽を出すのでは」と書いたことが、現実化しつつあるわけで、トランプ大統領はこの下落が気に入らないようですが、2018年は2020年の大統領選挙に向けて、少しクールダウンする時期となる可能性があります。
ちなみに案外知られていないことですが、このようなチャートの読み方は、証券アナリストの学習内容にも試験内容にも一切ありません(笑)。チャート分析について、確たる権威はないのです。
ただ、実際には多くのマスコミを賑わすアナリストやストラテジストが「速すぎた上昇の調整」という表現を用いているわけで、何らかの図解を行うことは、当然に求められることでしょう。個人的に、月足で株価指数と12か月平均との位置関係を見ておくと、まあまあ再現性のあるパターンがあるように感じられます。1か月に1度は確認したほうがよいと思います。