2018年はアメリカの中間選挙年。だから株価は?
あけましておめでとうございます。
旧年は株式投資家にとって(仮想通貨投資家にとっても)良い1年でした。
発会日の今日も前年末比741円高の2万3506円で、これが1992年1月7日以来の高値ということですから、2018年も株で儲けてやろうと腕まくりしている方は多いと思います。
なのですが、2018年については一つ気になる節目にあたる年であるということを、あえて書き留めておきます。
それは、2018年は「共和党政権が中間選挙を迎える年である」ということです。
この「共和党政権」の「中間選挙」という2つのキーワードについて確認する前段階として、
まず「中間選挙の年」というのは、どういう傾向なのか、日経平均で並べてみましょう。
年 年始始値年末終値
1986 17960 18701
1990 38921 23848
1994 17421 19723
1998 15268 13842
2002 10631 8578
2006 16294 17225
2010 10609 10228
2014 16147 17450
2018 23073 ?
これまでの8回の中間選挙年の年間上昇率の平均は-5.0%です。
さて、このうち共和党政権の中間選挙年は
1986
1990
2002
2006
です。
この4つの年の平均上昇率は-12.0%となります。単純に正負でいえば2勝2敗ですが、
下げた年が大きく下げたのに対して、上昇年は4−5%台と穏やかなものなため、平均値がマイナスです
一方、民主党政権の中間選挙年は
1994
1998
2010
2014
です。
この4つの年の平均上昇率は+2.1%となります。単純に正負でいえばこちらも2勝2敗ですが、
下げた年が一けたマイナスにとどまり、上昇年は8%,13%と大きめなので平均値がプラスです
さて、このような区別に意味があるのか、ということなのですが、実はこの考察はオリジナルではなく、とある本で読んだことがあるのです。それは「証券市場の基礎知識 」(山一證券経済研究所)という本で、この中で、株式相場の「大統領選挙サイクル」について解説されているくだりでのものだったと記憶しています。
その中で、「共和党政権の時期は、中間選挙の年が谷となり、民主党政権のときは、本選挙の年が谷となる傾向がある」という記述がありました。
この本を私が読んだのは1990年ごろですが、その後の経緯を見ると、実は民主党政権も本選挙の年の株価が良好な時期でこそ、2期連続の政権獲得に成功していることがわかります(1996年、2012年)
株価が堅調なのに、共和党に政権を奪われた2016年は、特異現象の発生した年といってよいと思います。
こうした傾向を踏まえると、共和党とトランプ大統領が2期連続で政権をとりたいのなら2020年の株価を好調に推移させることが戦略目標となります。
・既にSP500などの指数が最高値を更新した2017年に続いて、2018、2019、2020年と3年間上昇し続けるほどの潜在成長力がアメリカにあるのか
・いったん2018年に少し景気を冷まして、2020年に上昇するよう調整したいか
ということを、共和党の幹部はいま、計算しているはずなのです。
2018年はいったいどちらの判断になるのか、ここからは、経験と勘による読みしかありません。
2017年冬に法人税減税をした以上、向こう数か月株価がさらに上がっても不思議はないのですが、一方で、当面の好材料が出尽くした感がなくもない、という印象が個人的にはあります。
そもそも海外についていえば、
・米国、欧州が共にテーパリングをするフェーズに入ったとの経済観測
という背景があり、また、日本に関して
・2019年秋に予定される消費税増税
・2019年度の税制改正に向けて、金融所得への増税が検討されているという報道
などの火種がくすぶっている状況です。
しかも、2018年はFRB議長の交代、および、日銀総裁の交代(継投説もありますが)の年にもあたり、こうした要人の交代によって何かしら景気の風向きに変化が生じる可能性も、(大きくはないとは思いますが)ゼロでないことは、頭の片隅に入れておかねばなりません。
もし何か風向きの変化が生じるとすれば、おそらくそれはそう遠いことではなく、米国の税制改革によるラリーが冷めてきた頃、2−3月にも、何か芽を出すのではないかとみています。
などと考えていても、結局のところ株式市場は、何かしらの不安材料は抱えつつ上昇し続けていくことも多いものではあります。
が、あまりにも強気な予測が多い時期こそ、風向きが変わった時のインパクトも大きなものになりがちなのです。少しこうしたことも頭に入れて、経済報道に接していこうと考えているところです。